自分で不安を作り出すしくみとは
不安で心配が止まらないのは苦しいものです。
「将来〇〇が起こるのではないか」という不安は勝手にわいてきます。
例えば、あなたが男性で好きな女性がいて片思いだとします。
ある日、その人が楽しそうに他の男性と話をしていたところを見て
「えっ!もしかしてあの男性のことが好きなんじゃないか・・・」と気にしだします。
すると、その心配がどんどん勝手にわいてきて、ふくらみ、その感情によって苦しまされるようになります。
この頭の中から勝手に湧いてくる考えを雑念といいます。
そして「考えてはいけない」と思えば思うほど雑念は出てくるものです。
このように人は不安や心配などのネガティブで不幸な思考を自分で作り出しているのです。
では、この不安や心配などの思考を止めることはできないのでしょうか。
たしかに直接止めることはできませんが、他のことへ意識を向けた結果、不安へ意識が向かなくなることがあります。
つまり、今やっていることに集中することです。
無心になること、これが不安へ意識を向かわせない方法です。
*無心:仏教用語で心の働きが休止していること。
例えば、仕事をしていて
「ああ、早く仕事終わらないかな・・」と思ったとします。
すると、
「早く夕方にならないかな」
「この仕事つまらないな」
「仕事するの苦痛だな」
などという考えで頭がいっぱいになり、ますます時間が長く感じてしまいます。
逆に、目の前の仕事に夢中になり集中してやっていると、時間はあっという間に経ってしまいます。
つまり、雑念を取り払い、無心になることが勝手にわいてくる考えから逃れて、心を落ち着かせる方法なのです。
雑念を取り払い頭を空っぽにする練習とは
とはいえ、雑念を取り払うなどということはそうしようと思ってもなかなかできません。
そこで、頭を空っぽに、そして無心になれる練習が必要です。
それが瞑想です。
瞑想はある種の思考(雑念)を停止させるトレーニングといってもよいでしょう。
瞑想をやっているときには、何も考えずにひたすら心の中でマントラ(意味のない音)を唱える。
あるいは、瞑想のやり方によっては呼吸に意識を向けるというものもあります。
いずれにせよ、瞑想しながら何かに注意を向けていることで、これを繰り返していき、思考(雑念)を減らしていきます。
その結果、少なくともその間は不安や心配はわくことが徐々に少なくなってきます。
つまり、意識を不安や心配から → 瞑想のマントラや呼吸に向けていくことになります。
そんな理屈で不安や心配を落ち着かせていきます。
実はこれと同じ理屈で不安を減らす実践をした人がいます。
それは鎌倉時代の僧侶の法然です。
法然は専修念仏(せんしゅうねんぶつ)「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)とただ唱えよ、そうすれば悩みから解放される」と言っていました。
この根本的な考え方も
人間の苦悩は余計な考えからくるものであり、不幸は自分が作り出しているという考え方です。
それはつまり、考えることを止める=煩悩からの解放をするという意味でもあります。
瞑想のマントラも浄土宗の法然の南無阿弥陀仏も意味のない音です。
南無阿弥陀仏は「私たちにははかり知ることができない」という意味らしいのですが、もともとこれは「ただ、唱えなさい。唱えるだけで救われる」と考えられています。
つまり意味はあっても、意味を考える必要はありません。
そして、ただ唱える、何も考えずに唱えるだけで、無心になることができ不安や心配へ意識を向けなくて済みます。
これはつまり「不安や心配な気持ちから救われる」ということではないでしょうか。
先にも書いたように
人間の苦悩は余計な考えからくるものであり、不幸は自分が作り出しているのであれば「南無阿弥陀仏」でその余計な考えから救われるということです。
以上のように瞑想、念仏も核は同じであると思います。
このように昔から何も考えずに何かに集中し無心になることで、悩みや心配不安から解放されると信じていたのです
では、参考までに簡単な瞑想のやり方をご紹介します。
20分間の瞑想のやり方
では、ごくごくシンプルな瞑想のやり方 5ステップをご紹介します。
ステップ1 あぐらをかくか椅子に座る
コツ1 もし、床に座るのだったら座布団などを 2つ折りにして、お尻の下に敷く
コツ2 手のひらは上向きでも下向きでもオーケー
コツ3 背骨を真っ直ぐにする。体を左右に揺すって、お尻の下のコリコリした骨、坐骨(ザコツ)を床に突き刺すイメージ。ただしあまり真っ直ぐを意識すると背骨がそるので、自然な感じで真っ直ぐにする。
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ステップ2 まぶたを閉じる
コツ ぎゅっと閉じずに、目を閉じたまま 下向き45度くらいを見ているイメージ
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ステップ3 ゆったり深呼吸を始める
コツ1 ゆったりと深呼吸を10回くらい繰り返す
コツ2 鼻から吸って、鼻から吐く腹式呼吸
コツ3 深呼吸のリズムは 吸って3 吐いて6 くらいのカウントで
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ステップ4 20分間そのままの状態で座り続ける
コツ1 自然な呼吸で行う
コツ2 雑念がでてきても、眠気が出てきても気にしない
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ステップ5 20分間終わったら、徐々に瞑想状態から出るようにする
コツ 急に動いたり、目を開けたりしないこと。徐々に動くこと
本当にやり方はシンプルです。
ただ、最初の頃は「これでできているのかな?」と不安になるかと思います。
こちらのブログ記事に瞑想中どんな感覚がするかをまとめているので、参考にしてみてください。
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禅には士官打坐(しかんたざ)という禅語があり、その意味は「ただ座れ」というものです。
それは
「こうして座禅をする意味とか効果とかそんなことを考えず、期待せずにただ座りなさい」ということです。
つまり、ただ座ることに集中するということではないでしょう。
瞑想は禅のような修行ではありませんが、士官打坐で座ることで
不安や心配に意識を向けずに他のことに意識を向ける、こうすることであなたの不安は落ち着くことができるでしょう。