私はこれまで瞑想を研修として多くのビジネスパーソンにお伝えし、
自分自身も実践してきましたが、
瞑想の何がムズカシイって、
「言語化すること」が難しいです。
なぜなら瞑想は、心の状態と直結しているため
言葉にすると「なんだか、感じていることとちょっと違うなぁ」と感じるからです。
このように私たちの心の状態はなかなか表現しづらいものです。
ですから、瞑想について言葉で解説するのは難しい。
まして本にするのはとても難しいと感じています。
そんな中でも、厳選して4冊。
「ああ、これは瞑想の本質的なことを書いている!」
と感じたオススメを紹介します。
実は以下読んでいただくとわかりますが1冊以外はテーマが
・仏教
・禅
・老荘思想
と本では「瞑想」という言葉さえ出てこないのですが、中身は
「瞑想をしたら日常や人生がどのように変わるか」
とか
「まさに瞑想をしている心の中の状態だ」
とか
「瞑想を深めていったら、こんな境地であろう」
など私が考える瞑想とぴったりなので、
より瞑想の本質を理解したいのであれば読むとヒント満載です。
もくじ
おすすめ本1「頭を「からっぽにする」レッスン」
ということで、瞑想と関連付けながら解説したいと思います。
まず、これはテーマは瞑想ドンピシャです。
アンディ・プディコム 、 満園 真木 著
この本を読んで感じたのは、
「ああ、「まさに瞑想をしている心の中の状態」を言語化している」と思いました。
それは意識の深い部分にアプローチしていっている状態です。
その心の中を本著ではこのように解説していました。
例えば、自分は今道路わき、道端に座っています。
そして、その道路は自分の心の中を表しています。
目の前の道路を車とか自転車とかバイクなどが通り過ぎています。
ところが日常生活では、心の中のことに対して自分は目隠しをしている状態です。
なぜなら、日常生活というのは、いつも仕事をやって、家事をやって、通勤をしてという感じでやることに追われていますので自分の心の中を眺める暇がありません。
ですから、この道路(心の中)で通り過ぎているものが見えません。
でも、何だか心がざわざわしている様子はわかる。
そんな状態です。
忙しいと、もうほとんど心の存在も忘れてしまうこともあります。
ところが、瞑想すると今度はこの目隠しを取って、
自分の心の中が何がざわざわしているのかが見えるようになってきます。
車が通ってる
バイクが通ってる
自転車がこっち向かってる
ということがわかるようになり、
いろいろなものが通って行き交っててざわざわしてる、そんなふうに自分の心の中が見えるようになってきます。
そうしていると、そのざわざわしているものを止めたくなってしまう。
もうなんか落ち着かなくて、イライラしてしまう、状態になります。
そして、
ざわざわしている心を止めようとすればするほど、ますますザワザワしてきてしまう。
これが瞑想の初期段階です。
雑念止めなきゃと思って、そう思えば思うほど気になって仕方がなくなって止められないのです。
そして、瞑想に慣れてくるとこの止めさせようと思っていた気持ちがちょっとずつ落ち着いて、ただざわざわしているな、と眺められるようになります。
ザワザワして車が通ったり自転車通ったりしてるけど、「いいっか」っていう感じで、道端にただ座ってそれを眺めている感じになってきます。
そうすると、しばらくしてこのざわざわしていた、自転車だったり、車だったりが減っていく・・・
つまり瞑想中、だんだん心が落ち着いてくる。
これが、瞑想にいい感じで入っている心の状態です
ざわざわが気にならなくなってきます。
気になったとしても、放ってみておけます。
つまり瞑想に慣れてくると、雑念を放っておくことができるようになってきます。
これが雑念を放っておく、瞑想に慣れてくる、メカニズムです。
いかがでしょうか。
瞑想に慣れてきた際の雑念を放っておくのが、
見事な例えになっていてわかりやすいと思います。
*書籍本文を要約して、イラストにしてみました。
ですから、私も瞑想研修のときにはこの例えを拝借して説明しています。
また、私自身の体験からもすごく共感できるので、
自分のこととして話せます。
瞑想をやっている方からの質問で一番多いのが
「これで本当に瞑想できているんですか」というものです。
そんなときに、
「雑念は無くなりませんので、それを放っておけるようになったらできてきている証拠ですよ」と
答えたりします。
この本の瞑想中の状態のくだりは、瞑想できてきたという手がかりになっていいのではないかと思います。
おすすめの本2 「反応しない練習」あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
草薙龍瞬著
これは一般的にベストセラーになっているので、ご存じの方もいるかもしれません。
本著の一番のテーマはそのタイトル通り
「反応しないこと」
外からの刺激に
「失敗するかも・・・と心配になる」
「誰かの言葉にイライラする」
「嫌なことに落ち込む」
など全て反応してしまうので起こるわけです。
だとすれば、すべての悩みを根本的に解決できる方法があります。それは“ムダな反応をしない”ことです。
想像してみてください、ムダな反応をしなくなれば、人生、どれほどラクになることか。
ここで、大きく納得しながら、
「でもそれがわかっててできない」
「反応してしまうんじゃないか」
そりゃそうですよね。
そこで、瞑想です。
反応しない練習がまさに瞑想なのだと思います。
実際、瞑想をすると反応したとしても、平常心にサッと戻ることができるようになります。
これは私以外にも、瞑想を続けた方は口を揃えて言います。
「嫌な感情をすぐ忘れられる」
「秒で戻れる」
と。
本当なのです!
反応しない、はとても難しいかもしれませんが、平常心に戻るのは、まぁまぁできます。
そういう意味では本著は瞑想を続けたら、本当に悩みが減っていくんだな、というメカニズムを教えてくれる本でした。
それを考えると、ちょっとワクワクしながら瞑想を続けることができます。
また、その他本著でも紹介している
良し悪しを判断しないこと
感情を上げもせず下げもせず
なども、まさに瞑想を続けると徐々に身についてきます。
そして、最終
「だから、どんな悩みも越えていける」
という静かな自信を持てるのだと思います。
私としては、何度もうなづきながら読めました。
そして、本著は根本的に仏教、ブッダの教えなので、ブッダはブッダガヤーの菩提樹の前で瞑想をしていて、悟りをひらいたことが有名です。
やはり、瞑想をしたからこそ、反応しない、という考えに行き着いたことと合点がいきます。
おすすめの本3 「禅マインド ビギナーズ・マインド」
鈴木俊隆 、 松永太郎著
これはタイトルの通り、禅がテーマなのですが、本著に書かれているのはまさに「瞑想の心得」であると思います。
ですので、瞑想での境地と禅での境地(悟り)って同じなのではないかと思っています。
例えばこの本のタイトルにもなっているビギナーズマインド(初心)について冒頭にこうあります。
そこで一番難しいのは、初心者の心を持ち続ける、ということです。
禅について深い理解を持つなどということは、必要ありません。
禅の文献を読むときも、そうした本の一行一行をまったく新しい心で読まなければなりません。・・・つねに初心者でいること、ここに禅の本当の秘密があるのです。
これは解釈すると、「今ここを感じる」「今ここに生きる」ことではないでしょうか。
新しい心 とは、今ここ マインドフルネスそのものであると思います。
瞑想でもそれはとても大事なことです。
しかし、難しい。なぜなら常に雑念が浮かんでくるからです。
そんな時にはどうすれば良いのか、それは本著にこうあります。
坐禅をする時には、思考を止めようとしないことです。
止めようとするのではなく止まるがままにします。
心に何か起こったら、入ってこさせ、出て行かせます。
どんなことも長くはとどまりません。
思考を止めようとすることはそれに邪魔されているということです。
何ものにも邪魔されてはなりません。
何かが心の外で起こっているように見えますが、実際は心の波に過ぎないのです。
確かに、瞑想中にも波が寄せては返すように感情や思考は勝手にきて、去っていきます。
そして、また勝手にやって来ます。
そんなふうに「波なんだー」と思っていると、それにとらわれることはあまりなくなります。
本著のこの文を読んだ時にも「瞑想でも全く同じだ」と思いました。
このようにまさに禅での心得や心の中の様子は瞑想の時と同じです。
それを見事に文章で表現してあるので、私はとても感動しました。
この心の様子を表現している内容に共感する人はきっと多いと思います。
おすすめの本4 ビジネスリーダーのための老子「道徳経」講義
田口義史著
本著は、老子の思想、道教を解釈した内容です。
「上善は水の如し」
とか
「無為自然」
とか
「和光同塵」(わこうどうじん)などよく知られている言葉が道徳経にはあります。
これの何が瞑想と関係あるかというと、道徳経の「道(タオ)」が瞑想の本質を表していると思うからです。
老子がいう「道」とは、万物の根源です。
生命力や魂などと理解していただければよいかと思います。
道徳経にはそんな生命力や魂を高めること、感じることが人として生きていく上で大事とあります。
私はそんな内容を知ったときに、
「瞑想を極めた境地」が、まさに「道」を感じる、それを大事にすることと感じました。
つまり、老子の思想の「無為自然」であると道・生命や魂は喜ぶ。
自然の生き物のように、ありのままでいなさい、そうすると私たちの魂は喜ぶ、
そんなふうに解釈もできます。
そして、瞑想をする際に大事なことは「ありのまま」でいるということです。
瞑想の途中で雑念が出てきても、瞑想になかなか集中できなくても
それをそのまま受け入れ、ありのままでいることが大事です。
(これがとても難しいのですが)
また、この道徳経では「道」の核心を最初に示しています。
「道の道とすべきは常道にあらず」(老子)
これを解釈して本著には以下のように書いてあります。
東洋思想の言葉は、その書物にある巻頭の言葉に 一番言いたいことをまとめている
とも言われている。
これは、有名な老子の巻頭に出てくる言葉であるが、
もう、それはわかったと思った瞬間から 迷宮入りしてしまうという。
だから、常に新鮮な気持ちで実感し体感することが大事だということであろうか。
先人の叡智には、全く古さを感じさせることもなく、有り難い気持ちになる。
そこに、古典の深さと面白さがあるように感じる。
これは「瞑想を極めていくと心はどのような状態になるのか」それを「わかった」と思って言葉で表した途端、それはもう迷宮入りしてしまう、とも言えると思います。
元々、心というものは曖昧で自分自身でもつかみどころのないものです。
そのような時に、その瞬間、瞬間で感じていくことがまさに瞑想中の心の中であり、それを体感することが瞑想そのものではないかと思います。
実は本著の田口先生の講義を私は10年近く受講していました。
どの古典の講義も面白かったのですが、老荘思想は最初原文は全く理解できず(そもそも漢文が難解)ついていけなかったのですが、田口先生の素晴らしい解説で大変興味深く受講できました。
そして、その解説を聞きながらいつも「ああ、これは瞑想のことを言っているのではないか」などと結びつけていました。
そして、この道徳経や老荘思想の講義には瞑想の理解へのヒントがたくさんあったと感じています。
以上が瞑想を知るためにおすすめの本の解説でした。
瞑想の体験をしながらこれらの本を読むと体験と相まって、非常に面白く、そして深い理解ができるのではないかと思います。