メンタルヘルス セルフケア研修を成功させるためのポイントとは(目標・内容・効果測定)

目的:セルフケア研修の目的と重要視すること

セルフケア研修の成功のために、まずはその目的をしっかりと把握しましょう。

メンタルヘルスケアにおけるセルフケアの位置付けは、1次予防です。

ですから、セルフケア研修の目的、重要視すべきことは以下のことになります。

・メンタル疾患を減らすための予防をする

・ストレスを減らし、幸福感を上げる

・知識だけでなく、日々の習慣に取り入れられるセルフケア方法を知る

そして、セルフケア研修ではこの目的を受講生にいかに「自分ごと」として捉えられるかがポイントになります。

そのために、工夫が必要です。

特に「予防」とはまだ何か問題が起こっているわけではありません。

ですから、研修では

・いかにメンタルヘルスを損なうことが苦痛で辛いことか(肉体的・精神的・経済的にも)

・メンタルヘルスを保てるだけで、生活や仕事の質がいかに上がるか

受講生が具体的にイメージさせられるかが大切です。

まずはセルフケア研修の目的を伝える際に、「自分ごと」として捉えられるか、否かをよく見ておくと良いでしょう。

セルフケア研修の目的チェックポイント

・メンタル疾患を減らすための予防が目的となっているか

・ストレスを減らし、幸福感を上げることが目的なっているか

・知識だけでなく、日々の習慣に取り入れられるセルフケア方法を知ることが目的になっているか

・いかにメンタルヘルスを損なうことが苦痛で辛いことか(肉体的・精神的・経済的にも)を伝えることが目的になっているか

・メンタルヘルスを保てるだけで、生活や仕事の質がいかに上がるか伝えることが目的になっているか

セルフケアの定義はいろいろ

セルフケアと言ってもまだ新しい概念であり、その定義は様々です。

しかし、セルフケアはどのような要素から成り立つのか決めておかないと、どの研修が良いのかを選ぶことが難しくなってしまいます。

そこで、セルフケアを成り立たせる構成要素を知るために、いくつかの研究論文から共通要素を抜き出してみました。

*セルフケアの領域を示しているもので、論文引用数が多いもの3つをピックアップしました。:被引用数

*それぞれの領域を分類するため、色分けしていきます。

論文1 セルフケアと職業上の生活の質: MSW 実践者の予測因子 Self-care and Professional Quality of Life: Predictive Factors Among MSW Practitioners (Kori R. Bloomquist Leila Wood,Kristin Friedmeyer-Trainor Hea-Won Kim)被引用数245 によると

「セルフケア活動の領域」として5領域から成り立っています

1 肉体的なセルフケア活動

2 職業的なセルフケア活動

3 感情的なセルフケア活動

4 心理的なセルフケア活動

5 精神的なセルフケア活動

として定義されていました。

次に論文2:メンタルヘルス実践者の皆様、自分を大事にしてください: セルフケアに関する文献レビューDear Mental Health Practitioners, Take Care of Yourselves: a Literature Review on Self-Care (Kirsten Posluns1 & Terry Lynn Gall1)  被引用数 233 によると6つの領域分けていました。

1 意識

2 バランス

3 柔軟性

4 肉体的健康

5 社会的サポート

6 精神的

です。

最後に論文3:セルフケアの 6 つの領域: 人類全体への配慮 Six domains of self-care: Attending to the whole person (Lisa D. Butler, Kelly A. Mercer, Katie McClain-Meeder, Dana M. Horne & Melissa Dudley)被引用数 127 によると6領域に分かれています。

1 肉体的

2 職業

3 人間関係

4 感情

5 心理的

6 精神的

以上この3つの論文で共通項を抜き出して、分類し

大きな領域としては以下の3つ

1 肉体におけるセルフケア

2 心におけるセルフケア

3 人間関係におけるセルフケア

そして、心のセルフケアの中に

・感情的

・精神的

・心理的

な活動を含むものとしました。

こうしてセルフケアの主な領域を定義することで、個々のセルフケア研修の内容がどの領域に当たるかがわかります。

そして、できれば3つの領域を含めたセルフケア活動を網羅できるようにすると十分なメンタルヘルス予防ができるでしょう。

セルフケア研修の領域と具体的な内容について

では、ここからこの主な3つの領域についてどのようなセルフケア活動・研修があるのかをご紹介していきます。

まずはこちらの一覧表をご覧ください。


体における
セルフケア

心における
セルフケア

人間関係
における
セルフケア

1睡眠

2運動

3呼吸法

4瞑想

5セルフコンパッション

6コーピング

7コミュニケーション

8ジャーナリング

9自律訓練法

9つのセルフケア活動例があり、それぞれどのセルフケア領域にあたるのかが示してあります。

職場の現状から、自分の会社の課題を解決するのにふさわしいものを選ぶ目安にしてみてください。

では、それぞれ具体的にどのような活動、セルフケア効果があるのかを紹介していきます。

1 睡眠

睡眠は、その重要性はさまざまな場面でいわれています。

睡眠不足は身体的な健康や認知機能に大きな影響を及ぼすことが研究から明らかになっています。

十分な睡眠が確保されていないと、以下のような症状が出てきます。

・身体の免疫機能が低下し、感染症リスクが増加する可能性

・代謝率やホルモンバランスの乱れも見られ、体重管理や糖尿病リスクの可能性

・集中力や注意力の低下が生じ、パフォーマンスや判断力が低下する

・記憶力や学習能力にも悪影響を与え、仕事では「話を聞いても忘れてしまう」「やるべきことを忘れて、やらない」「同じミスを繰り返す」などが起こる可能性

などです。

そして、睡眠不足は、身体の休息と回復のプロセスを妨げるため、疲労感や倦怠感を引き起こす要因となります。

また、RAND研究所(米国本拠の有力シンクタンク)の調査(2016年)で、日本の睡眠不足による経済損失は年間15兆円(当時のレート)と発表されました。

このように実際、睡眠不足による疲れは、労働生産性にも直結しているのです。

また、睡眠の質も重要です。

深い睡眠、快適な睡眠ができない場合も疲労が残ることがあります。

いわゆる、不眠の状態です。

セルフケア活動としては良い睡眠を確保する、そして、その重要性を知識として伝える、ということがあります。

また、知識として睡眠の重要性を教育していくことも大切でしょう。

質の高い睡眠を確保するための方法とは

質の高い睡眠を確保するためには、いくつかのアプローチと方法があります。

まず、睡眠環境を整えることが重要です。

静かで暗い部屋、快適なマットレスや枕を用意しましょう。また、以下のポイントにも注目します。

定時に寝る:

毎日同じ時間に寝ることで、体内時計を整え、質の高い睡眠ができます。

スマートフォンの制限:

寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は、青い光が睡眠を妨げる可能性があるため避けるべきです。

リラックスのための活動:

寝る前にストレスを軽減するためのリラックスするための活動を取り入れましょう。これは後章で紹介します。

カフェインとアルコールの摂取制限:

寝る前のカフェインやアルコールの摂取は、睡眠の質を低下させる可能性があるため、避けます。

アルコールを摂る方がよく眠れると感じている人もいるようですが、実際は逆でアルコールは睡眠の質を低下させる可能性があります。

アルコールの摂取は一時的に眠くなる効果がありますが、実際には深い睡眠の段階を妨げ、浅い眠りが増加することがあります。

また、アルコールが体内で代謝される際に、覚醒作用を引き起こす影響があることがあります。

アルコール摂取後、深い眠りから浅い眠りへの移行が頻繁に起こり、夜間に何度も目が覚めることがあります。

さらに、アルコールには利尿作用があり、アルコールを摂ると夜中に何度もトイレに行くことがあります。当然その度に睡眠が中断します。

カーテンの利用:
部屋の外の夜間の明るさが睡眠に影響を及ぼす場合、遮光カーテンを利用して暗い環境を作ることも有効です。

最近は法人研修でも睡眠についてレクチャーする内容のものもあります。また、その類の書籍もありますので、これで啓蒙していくことがやり方としてあります。

2 運動やウォーキングをする

運動により、心の状態がリラックスし、気分が高揚します。

これも「ストレスを減らし、幸福感を上げる」手軽にできるセルフケア活動の1つです。

さらに、運動により睡眠の質が改善され、ストレスによる不眠症の改善にも効果的です。

ストレスを感じたときは、ぜひ運動やウォーキングを試してみてください。

なかなか1日のうちで時間が取れないのであれば、通勤の際ひと駅分歩くだけでも十分です。

セルフケア教育としては、この運動やウォーキングの有効性も知識として伝えていくことが大切です。

3 呼吸法

深呼吸により、交感神経と副交感神経のバランスが整い、心身のリラックスが促進されます。

これは最も簡単にできるセルフケアの行動です。

深呼吸のやり方

鼻からゆっくりと息を吸い込み、腹式呼吸を意識する。

息を数秒間止める。 3カウント数える

口からゆっくりと息を吐き出す。  6カウント数える

息を止めたまま、またゆっくりと息を吸い込む。 3カウント数える

5これを数回繰り返す。
このような簡単な呼吸法であれば、上記の通りのやり方で、あるいは動画などでもやり方を紹介しているので、セルフケアとして日常で気軽に取り組めます。

会社としては知識やメンタルヘルスの指導として、従業員に呼吸法の有効性を啓蒙していくことがセルフケア教育になるでしょう。

瞑想をする 

体や心においてセルフケア活動として瞑想はとても効果があります。

まず、瞑想はストレスホルモンコルチゾールを減らすことがわかっています。

また、そのような

不安や落ち込みという感情は

自分の意思とは反して

何度も何度も繰り返し

わいてくるものです。

これを反すう思考といいます。

瞑想はこの反すう思考を減らす、

いうことも研究でわかっています。

さらに、瞑想をすると幸福感や至福感を感じやすく、実際セロトニンやオキシトシンといった幸福ホルモンを分泌することがわかっています。

まさに「ストレスを減らし、幸福感をアップする」活動なのです。
では、ここで簡単な瞑想のやり方をご紹介しておきます。

簡単な瞑想のやり方

ステップ1 座る

コツ1 もし、床に座るのだったら座布団などを
2つ折りにして、お尻の下に敷くといい

コツ2 手のひらは上向き

コツ3 体を左右に揺すって、お尻の下のコリコリした骨、
坐骨(ザコツ)を床に突き刺すイメージ

ステップ2 まぶたを閉じる

コツ  ぎゅっと閉じずに、目を閉じたまま
下向き45度くらいを見ているイメージ

ステップ3 深呼吸をする

コツ1 ゆったりと深呼吸を10回くらい繰り返す
コツ2 鼻から吸って、鼻から吐く腹式呼吸
コツ3 深呼吸のリズムは 吸って3 吐いて6 くらいのカウントで

ステップ4 10分間そのままの状態で座り続ける


コツ 自然な呼吸で行う

まずは、これだけです!

カンタンですよね。

最後に横になるのは、なくても構いません。

そのまま寝てしまうこともあるので、注意です!


もっと、詳しく瞑想について知りたい場合にはこちらからブログ記事、または電子書籍をご覧ください。


ブログ記事 瞑想のやり方とその注意点
 https://www.chiyu-uehara.com/2020/11/17/meisouyarikata/

5 セルフコンパッション 

セルフケア活動の1つにセルフコンパッションを高めるものがあります。
セルフコンパッションとは自分への思いやりのことです。


自分で自分思いやりを持ち、励ますことで焦りやマイナス思考など悲観的な感情が少なくなり、自分にとってマイナスな出来事が起きても冷静に、適切に対応できるようになります。 

たとえば落ち込んだ時に 

「誰だって失敗することもあるよ」

と自分に言ってあげたり

仕事へのやる気が起きない時にも

「やる気が出ない時もあるよ」

と言って励ますことができるようになります。

セルフコンパッションのやり方

セルフコンパッションで一番簡単な方法は「慈悲の瞑想」です。
やり方は

1 自分を思い浮かべる

2「自分が幸せでありますように」と心の中で思い浮かべ、その時の気持ちを味わう。

次に、自分以外の身近な人を思い浮かべて同様にしていきます。

夫・妻・母・父・子供・同僚・上司など次々に身近な人を思い浮かべてやっていきます。
本当にこれだけです。
 

この効果としては思いやりホルモンといわれるオキシトシンが分泌します。
そして、
・ストレスを減少させる
・幸福感を上げる
・心の健康状態が保たれる
といった効果があります。
また、自分に思いやりを持つと同時に他人にも思いやりを持つことができます。
それがより良い人間関係の助けとなります。

日頃、仕事が忙しく余裕がない場合にはこのセルフコンパッションを高めることで、他人のことを思いやれる余裕を持てるようになり、よい人間関係が築けるようになると思います。

6 コーピング

コーピングとは、ストレスを感じたときに起こるストレス反応に対処する方法です。

誰でもストレス対処は、いろいろやっていると思いますがコーピングはより効果的な対処ができます。

コーピングには2種類あります。
1 問題焦点型 原因を解決することに重点を置く
2 情動焦点型 感情のコントロールに重点を置く ものです。


1 問題焦点型 
原因を解決することに重点を置く ストレスの原因を根本的に取り除いてストレスフルな状況から抜け出せるように行動することです。
例えば、
「人前で話すことが苦手だが、あえて『新しいスキルアップにつながる』と考えてみる」

「どうしたら、人前で話せるようになるか、その方法を人に相談してみる」

『話し方の講座があるので受けてみたら』とアドバイスを受ける
または
『話し方の本を読んでみたら』とアドバイスを受ける
または
『異業種交流会へ行って、自己紹介をしてみたら』とアドバイスを受ける

実際にやってみる
といったことになります。


次に 2 情動焦点型 感情のコントロールに重点を置くですが、例えば
感情にアプローチすることに重点を置き、辛いと感じる気持ちを変化させたり 解消させたりしてストレスをコントロールさせることです。

「人前で話すことが苦手。『あまり考え込まずに、気晴らししてみよう』と考えてみる」

仲の良い友達と会って、楽しい雑談をする

家では自分の好きなものに囲まれてリラックスする

苦手だ、嫌だというネガティブな気持ちが薄れる
といったことになります。

1、2それぞれメリットデメリットあります。

それぞれの特質を知り、状況やストレスの内容に応じて使い分けてみることがおすすめです。

いずれにせよコーピングを実践することにより、よりストレス対応が上手くなると思います。

7 コミュニケーション

コミュニケーションはまさに人間関係の構築に直結するものです。
そして、職場の人間関係は仕事でのストレスの原因、またはモチベーションにもなり得ます。

それくらい、コミュニケーションは重要な要素です。

この領域は多岐にわたっていますが、コミュニケーションの必須項目としては2つあります。
1 快適な関係を築く
2 わかりやすく正確に伝える

ということでしょう。
おおむね、さまざまなコミュニケーションはこの2つに集約されるでしょう。

そのうえで
・傾聴
・対人関係構築
・共感
・ロジカルコミュニケーション
・感情コントロール
などのスキルを身につけていきます。

コミュニケーション領域も多岐にわたりますが、いずれにせよセルフケアにつながるような趣旨で「快適な人間関係」と「わかりやすく正確に伝える」スキルが習得できる内容の研修を選びましょう。

わかりやすく正確に伝えるスキルとして、ロジカル・コミュニケーション®のテクニックについてこちらで詳しく解説しています。

ビジネスで必須スキル!ロジカルコミュニケーション®とは何か? 


8 ジャーナリング

ジャーナリングとは、ただひたすら心に浮かぶことをノートに書くことです。
日記ほどまとまりがなくて大丈夫です。


心に浮かぶことを次々に変えていくことで、実は心や頭が整理されていきます。
そして、それを眺めると自分の心が客観視できます。
そしてその内容を良いとか悪いとか判断しないことが重要です。
あるがままにつらつら書く。それがポイントです。

効果としては、
・自分を客観視できる
・感情をコントロールできる
・不安やストレスを減らす
などの効果があります。
これも5-10分でできる手軽なセルフケア活動です。

9 自律訓練法

自律訓練法は自己暗示によって催眠状態を作り出すもので、感覚としては眠りに入る直前のまどろみのような状態を作り出します。

この自己催眠状態になると、精神的な疲れやストレス軽減の効果があるとされており、以下のような効果があるとされています。

  • 疲労回復
  • イライラの軽減
  • 衝動性の減少
  • 集中力の向上
  • 身体的な痛み、精神的苦痛の緩和

自律訓練法では、決まった言葉を心の中で唱えながら自己暗示をかけていきます。
全部で6つの公式があり、順に進めることで深くリラックスできるように構成されています。

順番としては、背景公式を含めて以下の7ステップを行います。

  1. 背景公式:「気持ちが落ち着いている」
  2. 第1公式:「手足が重たい」
  3. 第2公式:「手足が温かい」
  4. 第3公式:「心臓が静かに打っている」
  5. 第4公式:「楽に呼吸している」
  6. 第5公式:「お腹が温かい」
  7. 第6公式:「額が心地よく涼しい」

自律訓練法は、これまで紹介してきたセルフケア法と違い専門家の指導が必要です。

 

セルフケア効果測定方法

最後にセルフケアを実施した後の効果測定法として、いくつかの方法を紹介します。

ストレスチェック

ストレスチェックとは・・・労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためす ぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合は医師の面接 を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施 してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、「うつ」など のメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。 

厚生労働省

ストレスに関する質問票を従業員が記入し、それを集計分析するものです。2015年以降「労働安全衛生法」により従業員50名以上の事業所では実施義務があります。

労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト

自分自身で仕事による疲労蓄積を、自覚症状と勤務の状況から判定するものです。

厚生労働省

あまりにも疲労の蓄積があると、自覚症状なく休息もせずに働きつづけてしまう人もいます。
まずは自分自身で今の状態を把握する必要があります。そのような場合にこの自己診断チェックリストが有効でしょう。
また、このチェックリストには家族が行うものあります。本人が自覚できないほどの疲労の蓄積がある場合には家族がチェックする際の目安になります。

労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト詳細

セルフチェック(うつ、不安障害)

一般社団法人日本うつ病センターのうつ病や不安障害の簡単なセルフチェックです。うつっぽい状態が青信号・黄色信号・赤信号という段階で診断されます。
すぐにできるセルフチェックにおすすめです。
セルフチェック(うつ、不安障害)詳しくはこちら

上記はメンタルヘルス予防のためのセルフチェックになります。
予防ではなく、症状が重い場合には精神科などの専門家の診断を受けることをおすすめします。

ワークエンゲージメント

セルフケアの目的はストレスを減らすだけでなく、幸福感を上げることもあります。
ですから効果測定方法としてワークエンゲージメントを測定する方法もあります。
ワークエンゲージメントは、ユトレヒト大学(オランダ)のウィルマー・B・シャウフェリ教授が提唱した概念の1つです。

仕事に関連するポジティブで充実した心理状態として、以下の3つがそろった状態と定義されています。

  • 活力(仕事から活力を得ていきいきとしている)
  • 熱意(仕事に誇りとやりがいを感じている)
  • 没頭(仕事に熱心に取り組んでいる)

これを測定するテストとしてはUWESが最も有名です。

UWES(Utrecht Work Engagement Scale)は、ユトレヒトワークエンゲージメント尺度のことで、世界中でもっとも広く使用されているワークエンゲージメントの測定方法です。

UWESではワークエンゲージメントの活力・没頭・熱意の3要素を17個の質問に分解し、回答によって従業員のワークエンゲージメントを簡単に測定できます。

日本の企業が行う場合は、日本版UWESとして9つの質問と5段階のスケールを設定し、簡易的に使用するケースも多いです。

UWES 日本語版 詳細

well-beingテスト  PERMA診断

幸福感を測定するツールとしてPERMA診断があります。
これは幸福学の研修者であるセリグマン教授のPERMA理論は、幸福の構成要素を五つに分類した理論です。
PERMAとは、Positive Emotion(ポジティブ感情)、Engagement(エンゲージメント)、Relationships(関係性)、Meaning(意味)、Accomplishment(達成感) の略です。
この理論は幸福という主観的な事柄を客観的に体系立てていくものです。
そして、この理論のもとに幸福感を測定するPERMA診断が作成されました。

これを金沢工業大学心理科学研究所がPERMA-Profilerの原版の開発者のひとりであるケルン博士の助言を受けPERMA-Profiler日本語版を開発しました。

 この心理検査は23項目で構成されており,それぞれの項目に対して11個の選択肢から該当するものをひとつ選んで回答します。

PERMA診断 日本語版 詳細

以上のような測定ツールを用いて、セルフケア活動による幸福感の向上や仕事へのモチベーションなどの効果を測定します。

まとめ

・セルフケア研修・活動の目的は「ストレスを減らし、幸福感をアップすること」

・セルフケアは「心」「体」「人間関係」の領域に集約される。その研修や活動がどこにあたるのか把握すること
・おもなセルフケア研修の内容や活動例

・セルフケア研修の効果測定はストレス状況や幸福感などで測定することがおすすめ

以上がメンタルヘルス予防としてのセルフケア研修実施のための目的・内容・測定方法となります。
セルフケア研修はなんとなく、つかみどころがなく、良し悪しの目安が把握しにくいものです。
研修の効果を得るためには、ぜひ上記の事柄を踏まえた上で実施することをおすすめします。

初心者さん向け
無料電子書籍プレゼント

瞑想の絶大な効果とそのやり方のコツをわかりやすく解説。電子書籍を無料プレゼントします。

社員教育ご担当者向け:お問合せ
瞑想セミナー

これまで5000人に教育・人材育成をした講師が社員向けメンタルヘルス・ウェルビーイングに役立つ瞑想の効果・やり方を解説します

ABOUTこの記事をかいた人

日本一わかりやすい瞑想・コミュニケーションセミナー講師。小学生・大学生、社会人、外国人に約5000人以上、のべ1万時間の授業・セミナーを行ってきた。元早稲田大学非常勤講師。ビジネスパーソン向けのメンタルヘルス・ウェルビーイングのための瞑想セミナー、コミュニケーションセミナーを実施中。セミナー・講演・取材お問い合わせはサイトから