孤独を感じやすい経営者のメンタルケア6選

経営者は責任がある立場であるだけに、悩みも多いものです。

例えば・・・

・毎月の資金繰り

・取引先が吹っ飛んだ(貸倒による損失)

・社内での横領

・採用ができず、人材不足

・労基署や裁判所に訴えられた

・社内の人間関係のトラブル

問題を解決したら、また次の問題が起こる・・・

という常にストレスにさらされている状態と言っても過言ではありません。

この状況で経営者は「この辛さを誰もわかってくれない」という孤独感を感じます。

経営者はこの孤独感をどうにかやりすごし、メンタルを安定させることが経営を継続する一番の肝だといえるでしょう。

今回はそんなストレス状況から起こる経営者の孤独感とストレスとの関係、そして孤独感を軽減する方法を具体的に紹介していきたいと思います。

最後まで読んでいただいたら、孤独の対処法を理解いただき、前向きな気持ちで一歩を踏み出せると思います。

経営者の孤独とメンタルヘルスの重要性について

経営者が孤独を感じる理由

ではまず、経営者がなぜ孤独に陥りやすいのかを解説していきます。

意思決定をするプレッシャー

経営者は組織やビジネスの最終的な意思決定権を持ち、重要な判断を下す責任があります。

それは例えば、新規事業を行うか、否かの決定などです。

これは先行投資をして、自社の資金を使う、または銀行から融資を受けるなどリスクを負って行うものになります。

この責任の重さにより、他の人々と共有できない決定を下すことがあり、孤独感を生む要因となります。

孤立した指導者のポジション: 

経営者は自らのビジョンを実現し、組織全体を導くリーダーです。

そして、リーダーは一人だけ。

このポジションは、他の従業員や部下と比べて孤立した存在であるため、孤独感が生じやすいです。

また、家族と分かり合えない部分もあります。

身近な存在であって、自分のことを理解してくれている家族でもやはり経営者の当事者でないとその気持ちは分かりません。

そして、そんな家族からの経営に関するアドバイスなどは「何もわかってないな・・」と感じてしまうこともあり話す気もなくなります。 

それは立場や経験の違いから仕方のないことでもあります。

さらに古くからの友達とも話が合わなくなります。

友達の多くは会社員であったりするので、経営者の気持ちはわかりません。

ここでもなかなか理解し合えず、疎遠になってしまうのは致し方ありません。

経営者にしか知らない情報を知っている

経営者は組織内での機密情報を持っていて、他の人々には共有できない場合があります。

その場合、社員は知らないので「なぜ、社長はあんなことを言うのだろう?」などと理解できないこともよくあります。

その場合にも「言いたいけれど言えない」「理解してもらえない」と孤独感を感じます。

以上のような状況は経営者が感じる孤独感を生み出します。

孤独感がメンタルヘルスに与える影響とは

以上のような経営者が孤独感を感じることが、そのメンタルヘルスにさまざまな影響を与えることがあります。

具体的にみていきましょう。

ストレスと不安の増加: 

孤独感が高まると、経営者はビジネス上の問題や決定に一人で対処しなければならないため、ストレスと不安が増加します。

このストレスと不安が持続的である場合、うつ病や不安障害などのメンタルヘルスの問題を引き起こす可能性が高まります。

感情的な孤立感: 

孤独感が高まると、経営者は感情的に孤立し、感情を他の人々と共有できなくなります。

感情的な孤立感は、心の健康に悪影響を及ぼすことがあり、抑うつ症状や社交不安障害のリスクを高めます。

感情の抑制: 

孤独感が高まると、経営者は感情を抑えることが多くなります。

感情を抑制し続けることは、ストレスの蓄積や感情の爆発を引き起こし、メンタルヘルスの問題を誘発する可能性があります。

孤独感とリーダーシップのポジション: 

経営者のリーダーシップのポジションにおいて孤独感が高まると、他の従業員や部下との関係が制約され、コミュニケーションが難しくなります。

この状況が続くと、経営者は孤独感を感じ、その孤独感がメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性があります。

このような孤独感を感じる状態を長く続けていると、

当然メンタルが落ち込み、時にはメンタル疾患になる可能性もあります。

以上のように経営者その立場から孤独感に陥りやすく、また、その孤独感からメンタルへの悪影響があります。

深刻な状況にならないよう、経営者にとってメンタルケアは欠かせません。
ではそのメンタルケアはどのようなことがあるのかを、見ていきましょう。

経営者向けメンタルケア策

では、経営者の孤独感を払拭できるようなメンタルケアを「孤独感をすぐ解決する場合」と「孤独感を感じないように予防する方法」を紹介していきます。

孤独感をすぐ解決する場合

1 経営者のコミュティに入る

経営者の仲間を作って、孤独感を共有することです。

人は自分の感情に共感してもらえるだけで、その感情を乗り越えられるものです。

ですから、同じ経営者の立場で集まるコミュティはメンタルケアにとても有効です。

さらに、経営上の問題に何かヒントを与えてくれることもあります。

そのように経営スキルを学ぶためのコミュニティに入ってみても良いと思います。

私もいくつか経営者や事業主のコミュニティに入ったことがあります。


起業したてのころは、先輩起業家の苦労話を聞き、
「みんな同じような課題を乗りこえてきたのだ」と勇気をもらいました。

また、コミュニティで実際売上を上げるためのマーケティング事例を教えてもらって、試してやったこともあります。

経営者のコミュニティは本当にたくさんありますが、その中で人間関係を築くには何度も会ったり、話をしたりするある程度の継続期間が必要です。

そのためにも居心地の良さを感じるコミュニティであることが大切です。
自分が合っている、と感じるところを選びましょう。


2 様々な方法でメンタルケアについて情報収集する

今、孤独感を感じてすぐに解決したい時には、メンタルケアについて情報収集をして、すぐに実践することができます。

例えば

・書籍

・動画

・セミナー

・コンサル

・インターネットのニュース

・論文

など、国内だけでなく海外からも情報を集められます。

これで、自分自身で様々なメンタルケアを試してみるとよいでしょう。

私も、たとえば自己啓発書で成功者の話、経営者の経営実践の本、あるいは動画をみて「がんばろう!」と励まされたことが何度もあります。


また、実際売上で悩んでおり、孤独感を感じているようであれば売上アップのためのヒントもこれらの情報源から得ることができます。

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メンタルヘルス セルフケア研修を成功させるためのポイントとは(目標・内容・効果測定)

日頃からメンタルヘルスを保つ方法

孤独感からストレスが増えて、メンタルをそこなうことがあります。


しかし、メンタルを鍛えるケアを日頃からしておくことで孤独に陥ったときにもメンタルを保つことができます。

そこで日常的にメンタルヘルス予防で気をつけること、メンタルケアを紹介します。

3 睡眠

睡眠不足が疲労に与える影響  

メンタルヘルス予防として、筆頭に挙げられるのが「睡眠」です。

睡眠不足が疲労に与える影響は身体的な健康や認知機能に大きな影響を及ぼすことが研究から明らかになっています。

十分な睡眠が確保されていないと、以下のような症状が出てきます。

・身体の免疫機能が低下し、感染症リスクが増加する可能性

・代謝率やホルモンバランスの乱れも見られ、体重管理や糖尿病リスクの可能性

・集中力や注意力の低下が生じ、パフォーマンスや判断力が低下する

・記憶力や学習能力にも悪影響を与え、仕事では「話を聞いても忘れてしまう」「やるべきことを忘れて、やらない」「同じミスを繰り返す」などが起こる可能性

などです。

そして、睡眠不足は、身体の休息と回復のプロセスを妨げるため、疲労感や倦怠感を引き起こす要因となります。

また、RAND研究所(米国本拠の有力シンクタンク)の調査(2016年)で、日本の睡眠不足による経済損失は年間15兆円(当時のレート)と発表されました。

このように実際、睡眠不足による疲れは、労働生産性にも直結しているのです。

また、睡眠の質も重要です。

深い睡眠、快適な睡眠ができない場合も疲労が残ることがあります。

いわゆる、不眠の状態です。

以上のように睡眠不足・不眠は仕事の疲れだけではありませんが、疲労と切り離せない関係ではあります。

質の高い睡眠を確保するための方法とは

質の高い睡眠を確保するためには、いくつかのアプローチと方法があります。

まず、睡眠環境を整えることが重要です。

静かで暗い部屋、快適なマットレスや枕を用意しましょう。また、以下のポイントにも注目します。

定時に寝る:

毎日同じ時間に寝ることで、体内時計を整え、質の高い睡眠ができます。

スマートフォンの制限:

寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は、青い光が睡眠を妨げる可能性があるため避けるべきです。

リラックスのための活動:

寝る前にストレスを軽減するためのリラックスするための活動を取り入れましょう。これは後章で紹介します。

カフェインとアルコールの制限:

寝る前のカフェインやアルコールの摂取は、睡眠の質を低下させる可能性があるため、避けます。

アルコールを摂る方がよく眠れると感じている人もいるようですが、実際は逆でアルコールは睡眠の質を低下させる可能性があります。

アルコールの摂取は一時的に眠くなる効果がありますが、実際には深い睡眠の段階を妨げ、浅い眠りが増加することがあります。

また、アルコールが体内で代謝される際に、覚醒作用を引き起こす影響があることがあります。

アルコール摂取後、深い眠りから浅い眠りへの移行が頻繁に起こり、夜間に何度も目が覚めることがあります。

さらに、アルコールには利尿作用があり、アルコールを摂ると夜中に何度もトイレに行くことがあります。当然その度に睡眠が中断します。

カーテンの利用:
部屋の外の夜間の明るさが睡眠に影響を及ぼす場合、遮光カーテンを利用して暗い環境を作ることも有効です。

睡眠チェックの活用:
睡眠トラッカーやアプリを使用して睡眠のパターンや深さをモニタリングすることで、自身の睡眠状態を把握し、改善に向けた努力を行うことができます。

これらのことを取り入れながら、質の良い睡眠、睡眠不足を解消し心身ともに健康を保ちましょう。

4 瞑想

瞑想には多くの効果があります。

孤独感に関することでいうと・・・

・不安の減少
・ストレスホルモンのコルチゾールの減少
・冷静さ・平常心を保つ
・前向きな気持ちになるホルモンのセロトニンの増加
・多幸感を感じる
などです。
つまり、孤独感を感じても通常の穏やかな気持ちに戻りやすく、孤独感に冷静に向き合える心情になれるのです。

では、シンプルな瞑想のやり方を紹介しておきます。

瞑想の手順 (シンプル瞑想5ステップ)

ステップ1 あぐらをかくか椅子に座る

コツ1 もし、床に座るのだったら座布団などを 2つ折りにして、お尻の下に敷く

コツ2 手のひらは上向きでも下向きでもオーケー

コツ3 背骨を真っ直ぐにする。体を左右に揺すって、お尻の下のコリコリした骨、坐骨(ザコツ)を床に突き刺すイメージ。ただしあまり真っ直ぐを意識すると背骨がそるので、自然な感じで真っ直ぐにする。


ステップ2 まぶたを閉じる

コツ  ぎゅっと閉じずに、目を閉じたまま 下向き45度くらいを見ているイメージ


ステップ3 ゆったり深呼吸を始める

コツ1 ゆったりと深呼吸を10回くらい繰り返す
コツ2 鼻から吸って、鼻から吐く腹式呼吸
コツ3 深呼吸のリズムは 吸って3 吐いて6 くらいのカウントで

ステップ4 20分間そのままの状態で座り続ける

コツ 自然な呼吸で行う

ステップ5 20分間終わったら、徐々に瞑想状態から出るようにする

コツ 急に動いたり、目を開けたりしないこと。徐々に動くこと

瞑想の効果は、毎日続けてこそ出てきます。
そのためにも、習慣になるよう時間を決めて行いましょう。

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5 運動 

運動はメンタルヘルスにとても有効です。
運動により、心の状態がリラックスし、気分が高揚します。

さらに、運動により睡眠の質が改善され、ストレスによる不眠症の改善にも効果的です。

ストレスを感じたときは、ぜひ運動やウォーキングを試してみてください。

なかなか1日のうちで時間が取れないのであれば、通勤の際ひと駅分歩くだけでも十分です。そんなふうに何かのついでにできるのでウォーキングは最も手軽な運動といえるでしょう。

ウォーキングをする際の注意点

準備と目標設定:

運動やウォーキングを始める前に、軽いストレッチを行い、体をほぐします。また、今日の目標距離や時間を設定しましょう。

適切なウェアの着用:

動きやすく、通気性の良いウェアを着用します。適切なシューズを履くことで、歩くのが楽になります。

スローペースからスタート:

急激な運動は怪我の原因になりますので、ゆっくりとしたペースからスタートします。ウォーキングは心地よいペースで行いましょう。

意識的な呼吸:

深い呼吸を意識して行うことで、心拍数を下げ、リラックス効果を高めます。

リズムを保ちながら歩く:

ウォーキングではリズムを保ちながら歩くことが大切です。自然な歩調を意識しましょう。リズム運動によって、幸せホルモンのセロトニンが分泌されます。

クールダウン:

ウォーキングが終わったら、軽くストレッチを行い、体を冷ましましょう。

また、運動も自分が好きだと感じられるものであれば、ストレス解消になりますので定期的に行うのが理想です。

6 笑う

日常でも大笑いした後に気持ちがスッキリした経験があると思います。

笑いにはそのような、感情の浄化作用があります。

1 免疫力が高まる

・笑いによって、がん細胞を殺すNK細胞の活性が上昇する

・笑いによって、脳内のエンドルフィン濃度が上昇し、免疫力が高まる。

2   ストレスが緩和される
・ストレスホルモンのコルチゾールが低下する
・笑いは腹式呼吸なので、セロトニンが活性化され、結果としてストレスが緩和される

3 痛みが緩和される
・15分の笑いで、痛みの許容レベルが10%上昇する
・笑いによって、鎮痛物質、エンドルフィンが分泌される

4 各種身体症状に効果がある
・笑うと血管が開き、血圧低下、心臓に好影響を与える
・笑いは、血糖値の上昇を抑える

5 記憶力が向上する
・笑顔によるコルチゾール抑制作用によって、海馬のニューロン損失が減少し記憶力が向上する
・笑うことでアルファー波が増えて、リラックスした状態になり集中力、記憶力が高まる

6 幸せになる
・笑いによって幸福物質ドーパミン、快楽物質エンドルフィンが分泌されるので「楽しい」「幸せ」な気分になる
・笑顔でいる人は30年後の幸福度が高い

7 考え方がポジティブになる
・笑顔になるだけで、考え方がポジティブに変わる

8 長生きする
・満面笑顔の人は、そうでない人より7歳長生きする

「頑張らなければ、病気は治る」樺沢紫苑著 より

「笑う」だけで、これだけのメンタルヘルス効果があるのですから、やらない手はありません。

手軽に笑うためには

・動画

・漫画

・映画

・テレビ

など、笑いを提供してくれるものはありますから、これらを使ってでも無理やり笑ってみること、1日1回はそんな時間をもつことで効果はあるでしょう。

しかも、「わっはっはっは!」と声を出して笑えるくらいのものがよいです。

一人で声を出して笑ってみてください。

きっと、スッキリします。

そして、孤独感も忘れられます。

孤独を感じやすい経営者のメンタルケア6選 まとめ

・経営者は立場上孤独感を感じやすい
・孤独感はメンタルヘルスをそこなう
・経営者向けメンタルヘルスケア策
・コミュニティに入って孤独感を減らす
・情報を収集して実践する
・睡眠をしっかりとる
・瞑想をする
・運動
・声を出して笑う


どのような組織でもリーダーは孤独な側面があります。
たとえ上手くいっている状態でも、孤独感を感じることもあります。
ですから、リーダーをしている限りこの孤独感とは付き合っていくものであるかもしれません。

孤独感とのうまい付き合い方はそれをどう捉えるか、でありそのキーポイントは心に余裕があること。

つまりメンタルが健康に保たれていること。といえるでしょう。
ぜひ、この記事にある日常のメンタルヘルスケアを実践いただき、うまくリーダーの孤独感受け入れていけることを願っています。


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ABOUTこの記事をかいた人

日本一わかりやすい瞑想・コミュニケーションセミナー講師。小学生・大学生、社会人、外国人に約5000人以上、のべ1万時間の授業・セミナーを行ってきた。元早稲田大学非常勤講師。ビジネスパーソン向けのメンタルヘルス・ウェルビーイングのための瞑想セミナー、コミュニケーションセミナーを実施中。セミナー・講演・取材お問い合わせはサイトから